京都新聞『マンガ 京・妖怪絵巻』の紹介 【制作の舞台裏】

『マンガ 京・妖怪絵巻』とは？

　京都新聞の子供向け新聞として2019年5月5日に創刊された「ジュニアタイムズ」。
　この一面を使って創刊当初より連載が始まったのがこの『マンガ・京妖怪絵巻』。
　週に一回、発行されるジュニアタイムズの誌面にて京都や滋賀の妖怪の伝承を基にマンガ化している子どもたちにも人気の連載企画です。

　現在は4人の漫画家・イラストレーターが専門家の監修のもとローテーションで作画をしています。
　ボクもその漫画家4人の一人として創刊号から作画担当をさせていただいています。

　今回は、そんな『マンガ 京・妖怪絵巻』について制作の舞台裏を交えてご紹介します。

『マンガ・京妖怪絵巻』はどこで読めるの？

　『マンガ・京妖怪絵巻』は京都新聞社が発行する子供向け新聞「ジュニアタイムズ」の連載物です。
　ジュニアタイムズは、毎週日曜日に京都新聞に同梱されて各家庭に配送されています。

　なお本ブログでは、新聞に掲載したマンガの一部のみを公開しています
　マンガ全面をご覧になりたい場合は、京都新聞社HPよりご注文をお願いいたします。
　京都府以外にお住まいの方も新聞の取り寄せが可能です。
　バックナンバーまたは紙面コピーの依頼も可能です。
　一面で迫力のある作品となっていますのでぜひ、お申込みいただいてご覧ください。

（2020年4月21日追記）
　2020年4月21日より、新型コロナウイルスの感染拡大によって休校期間が長期にわたる子どもたちの学習や心、体のサポートとして京都新聞のホームページにて『ジュニアタイムズ』紙面の掲載が始まりました。

『マンガ 京・妖怪絵巻』制作の舞台裏

『マンガ 京・妖怪絵巻』の作画は、ボクの場合はラフから完成まで一週間ほどかかります。

新聞に掲載されるおよそ二か月前に題材の妖怪名、シナリオが届きラフの作成に入るのですが、
このときまで今月はどんな妖怪を担当するのかということはわかりません。
なので、メールが届くまで毎月わくわくしながら待っています。

シナリオが添付されたメールを見てまず行うことは、妖怪の情報を調べることです。
妖怪名とシナリオはこの企画の監修をされている専門家の方から届くので
通勤電車の中でシナリオを読み、妖怪の情報を調べながら帰路に着きます。

そのあと、コマ割りやレイアウトを頭の中で考えてイメージが湧いた瞬間にラフに起こします。
ボクの場合は、ガッツリとラフの段階でイメージを固めたいのでこんな感じでガッツリ描きます。

ここで連載当初から守っていることがあるのですが、
ラフを描くときは必ず思いついたその日のうちに描いてしまうということ。
日をまたいでしまう場合は、一旦それをラフの下書きにしてラフを書き直します。
理由は、頭の中の既にできている絵、ビジョンが寝ることでリセットされるからです。
そうしてできたラフデータをいったん監修者に確認をしてもらい、修正を繰り返します。

一般的な作画工程では、『ラフ→下書き→ペン入れ→彩色』といういくつかの作画工程を経て、マンガを仕上げていくのが基本だと思いますが、私の場合は、何度も同じ絵を描いていると書き直し症候群を発症するのでラフデータをそのまま下書きレイヤー化してペン入れしています。

数日かけてペン入れ、着色を経て以下のようなカラーデータになるわけです。

ここまでが大体、新聞発行の一か月前です。
ここからデザイナーさんの手によって写植やデザインを施されて新聞の一面として発行されます。

ちなみに作画の時によく参考にしているのが水木しげる先生の妖怪図鑑や葛飾北斎の絵です。

葛飾北斎というと、北斎絵事典【完全版】という本が出ております。
これが本当におすすめで葛飾北斎の絵を一枚絵としてではなく、生き物・植物・生活・人物・模様などに分けてイラスト約2000点を収録している葛飾北斎の辞典なんです。

50音の索引もついていて当時の漁師やきこりはどういう服装をしていたんだろうとか、
街の様子、絵の描き方など調べたいものが全部出てくるので重宝しています。
絵で残っていない伝承の妖怪なども、この事典を見ながらイメージを膨らませることができるので、
漫画や絵を描いているかたや葛飾北斎の絵を楽しみたいという方には面白いかもしれません。

『マンガ 京・妖怪絵巻』 バックナンバーと創作秘話

ここからは『マンガ 京・妖怪絵巻』の過去のバックナンバーとともに、ボクが作画を担当した妖怪の創作秘話を紹介したいと思います。

ここだけの話も交えながら別記事にて紹介していきます。
気になる妖怪や作画秘話の知りたい記事がありましたら一覧下の記事をクリックしてご覧ください。

『マンガ 京・妖怪絵巻』バックナンバー

第1話　『輪入道（わにゅうどう）』（2019年5月5日掲載）

第2話　『玉藻前（たまもまえ）』（2019年5月12日掲載）

第3話　『宗旦狐（そうたんきつね）』（2019年5月19日掲載）

第4話　『つるべ落とし』（2019年5月26日掲載）

第5話　『滝夜叉姫（たきやしゃひめ）』（2019年6月2日掲載）

第6話　『朧車（おぼろぐるま）』（2019年6月9日掲載）

第7話　『小袖の手（こそでのて）』（2019年6月16日掲載）

第8話　『御辰狐（おたつきつね）』（2019年6月23日掲載）

第9話　『天女（あまつおとめ）』（2019年6月30日掲載）

第10話　『鵺（ぬえ）』（2019年7月7日掲載）

第11話　『酒呑童子（しゅてんどうじ）』（2019年7月14日掲載）

第12話　『茨城童子（いばらきどうじ）』（2019年7月21日掲載）

第13話　『鬼童子（きどうまる）』（2019年7月28日掲載）

第14話　『以津真天（いつまで）』（2019年8月4日掲載）

第15話　『天狗（てんぐ）』（2019年8月11日掲載）

第16話　『衣蛸（ころもだこ）』（2019年8月18日掲載）

第17話　『亀入道（かめにゅうどう）』（2019年8月25日掲載）

第18話　『そろばん小僧』（2019年9月1日掲載）

第19話　『尻目（しりめ）』（2019年9月8日掲載）

第20話　『鉄鼠（てっそ）』（2019年9月15日掲載）

第21話　『入内雀（にゅうないすずめ）』（2019年9月22日掲載）

第22話　『逆柱（さかばしら）』（2019年9月29日掲載）

第23話　『火の車』（2019年10月6日掲載）

第24話　『神泉苑の龍（しんせんえんのりゅう）』（2019年10月13日掲載）

第25話　『矢取地蔵（やとりじぞう）』（2019年10月20日掲載）

第26話　『土蜘蛛（つちぐも）』（2019年10月27日掲載）

第27話　『朱雀門の鬼（すざくもんのおに）』（2019年11月3日掲載）

第28話　『高入道（たかにゅうどう）』（2019年11月10日掲載）

第29話　『白蔵主（はくぞうず）』（2019年11月17日掲載）

第30話　『目玉しゃぶり』（2019年11月24日掲載）

第31話　『大百足（おおむかで）』（2019年12月1日掲載）

第32話　『三井寺の鐘（みついでらのかね）』（2019年12月8日掲載）

第33話　『竹伐狸（たけまりたぬき）』（2019年12月15日掲載）

第34話　『宴の松原（えんのまつばら）』（2019年12月22日掲載）

第35話　『閻魔・小野篁（えんま・おののたかむら）』（2020年1月5日掲載）

第36話　『小狐丸（こぎつねまる）』（2020年1月12日掲載）

第37話　『百鬼夜行〜安倍晴明編〜』（2020年1月19日掲載）

第38話　『百鬼夜行〜藤原常行編〜』（2020年1月26日掲載）

第39話　『カイナデ』（2020年2月2日掲載）

第40話　『深泥池の大蛇（みどろがいけのだいじゃ）』（2020年2月9日掲載）

第41話　『浮かれ猫』（2020年2月16日掲載）

第42話　『猫の恩返し』（2020年2月23日掲載）

第43話　『なすび婆』（2020年3月1日掲載）

第44話　『手の目』（2020年3月8日掲載）

第45話　『鬼若丸の大鯉退治』（2020年3月15日掲載）

第46話　『火前坊（かぜんぼう）』（2020年3月22日掲載）

第47話　『件（くだん）』（2020年3月29日掲載）

第48話　『付喪神（つくもがみ）』（2020年4月5日掲載）

第49話　『橋姫（はしひめ）』（2020年4月12日掲載）

第50話　『七歩蛇（しちほだ）』（2020年4月19日掲載）

第51話　『砂ほりばばあぁ』（2020年5月14日掲載）

第52話　『座敷童子（ざしきわらし）』（2020年5月3日掲載）

第53話　『橋立小女郎（はしたてこじょろう）』（2020年5月10日掲載）

第54話　『不落不落（ふらふら）』（2020年5月17日掲載）

第55話　『毛朱（もみ）』（2020年5月24日掲載）

第56話　『狸の手習い』（2020年5月31日掲載）

第57話　『一寸法師（いっすんぼうし）』（2020年6月7日掲載）

第58話　『フクマカブセ』（2020年6月14日掲載）

第59話　『赤坊主（あかぼうず）』（2020年6月21日掲載）

第60話　『清姫（きよひめ）』（2020年6月28日掲載）

第61話　『応声虫（おうせいちゅう）』（2020年7月5日掲載）

第62話　『にせ本尊』（2020年7月12日掲載）

第63話　『大嶽丸と鈴鹿御前』（2020年7月19日掲載）

第64話　『龍池の白龍』（2020年7月30日掲載）

第65話　『角大師（つのだいし）』（2020年8月2日掲載）

第66話　『船坂の靄船（ふなさかのもやふね）』（2020年8月9日掲載）

第67話　『幽霊子育飴（ゆうれいこそだてあめ）』（2020年8月16日掲載）

第68話　『シャクシクレ』（2020年8月23日掲載）

第69話　『丑御前（うしごぜん）』（2020年8月30日掲載）

第70話　『ヒダル』（2020年9月6日掲載）

第71話　『雷獣（らいじゅう）』（2020年9月13日掲載）

第72話　『雷さまの好きなへそ』（2020年9月20日掲載）

第73話　『玄象と鬼（げんじょうとおに）』（2020年9月27日掲載）

第74話　『一文字狸（いちもんじたぬき）』（2020年10月4日掲載）

（新聞発行後随時更新）

まとめ

今回は、京都新聞の子供向け新聞として2019年5月5日に創刊された「ジュニアタイムズ」。
この一面を使って創刊当初より連載が始まったのがこの『マンガ・京妖怪絵巻』を紹介しました。
まだまだ連載中ですので、ぜひジュニアタイムズをご覧ください。

書籍化が決定しました！