
どーもこんにちは。
漫画家・イラストレーターの青柳恵太です。
今回の記事では、2019年9月29日発行の京都新聞「ジュニアタイムズ」にて掲載された『逆柱(さかばしら)』について作画秘話をご紹介します。
まだ、「マンガ『京・妖怪絵巻』の舞台裏」の記事をご覧いただいていない方は、 そちらの記事から先にご覧いただくことをおススメします。
「逆柱(さかばしら)」 ってどんな妖怪?
「逆柱」とは、そもそもは妖怪ではなく、日本の木造建築の俗信のひとつで
本来の生えていた木の向きと上下を逆にして柱にすることを「逆柱」というのですが、
日本ではこれがあまり縁起のよろしくないものとされてきました。
昔はその「逆柱」が家鳴りや災いを起こすものとして忌み嫌われており、
そのことから妖怪として流布されていったものなのではと推測します。
ただ、一方で神社などではあえて逆さ柱にしているところもあります。
「建物は完成すると同時に崩壊が始まる」という言い伝えがあり、
わざと逆さにすることで未完成の状態にしているという仏閣もあります。
有名なところだと、日光東照宮の陽明門は12本の柱のうち1本が逆さ柱だとか。
まぁ、今でも日本建築の禁忌として「逆柱」は挙げられるようなので、
個人の家とかで逆さ柱になっているところは少ないと思います……。
そんな言い伝えから生まれた「逆柱」ですが、
新聞に掲載されているマンガでは、柱から顔が浮かび上がって、
家を揺らす妖怪として描いています。

どんな物語になっているかは、新聞を手に取ってご覧ください。
ここでは「逆柱(さかばしら)」という妖怪の簡単な説明にとどめておきたいと思います。
「逆柱(さかばしら)」の制作秘話
この妖怪のテーマをいただいたときに初めに思い出したのは、
家にある柱の木目とか天井の模様が顔に見えて怖かった子供の頃でした。
今でもふとした拍子に木目が顔に見えたりしますが、あれはなんでなんですかね?
昔だったらこれを妖怪だと思っても不思議じゃないですね…。
Twitterでも結構報告例がありますね(笑)
そんな様子を思い出しながら柱から顔が出てくる『坂柱』のシーンを描きました。
ただ柱から顔が出るんじゃなく、木目っぽい人相で柱の顔を描いています。


あと余談ですが、
これは気のせいかもしれませんが、このマンガを描いていた時、
家がやたらギシギシとかパキっとか鳴るのたびに神経質になっていました(笑)
妖怪の絵を描く人って心霊現象に悩むことがあるって聞いたことがあったので、
夜中に家族がみんな寝た後に原稿を仕上げていたときとかはちょっと怖かったです(笑)
さて、ここからは、少し作画の関係のお話をしたいと思います。
今回は「逆柱」という妖怪の性質上、いつもはただの背景の「家柱」がメインになるので今回は「背景」にこだわって描くことにしました。
しかし、そんな背景をメインにした漫画なんて今まで書いたことないので
今回は最後の最後まで迷いながら原稿を作成しました。
ちなみにこのラフ段階では屋根しかない夜から朝に変わる場面切り替えのシーン

ラフの段階では屋根ばかりでしたが、いざカラー原稿を作成すると
瓦ばっかりで単調になりすぎたのでペン入れの段階で町人が歩いている様子へ差し替え。

ラフの段階では無機質で単調な場面転換だけの捨てゴマのようでしたが、
町人を描いて朝の活気さが出たのでこの変更は結果的によかったです。

ちなみに、背景を描くのが苦手って
苦手意識を持っている人は、
背景の萌えポイントを探して見てください(笑)
例えば、電柱から出てる配線の垂れ具合とか、ブロック塀の透かしブロックとか、道路の白線のかすれ具合だとか…
そういう萌えポイントをおさえることで背景がどんどん好きになるはずですよ!
ちなみにそういった背景の萌えポイントがひたすら書かれた本があります。

MAEDAXの背景萌え! アシスタント背景美塾MAEDAX派
『MAEDAXの背景萌え』という本です。
ちなみに擬人化とかじゃありません!
ちゃんとした背景の解説本です。
しっかりとパースやアイレベルなど
背景の描き方の基礎を解説している一方で、
背景の描き方の本というレベルを軽く凌駕する内容でそんなところまで描いちゃうのってレベルで様々な背景の萌えポイントを解説されてます。
作者は背景塾を運営し指導されている方なので本当に勉強になります。
漫画を描く方には必携の本といっても
過言ではないレベルです。
ちなみにこの本に出会ったのは、
『逆柱』の原稿を書き終わった後でした(泣)
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