
どーもこんにちは。
漫画家・イラストレーターの青柳恵太です。
今回の記事では、2019年12月1日発行の京都新聞「ジュニアタイムズ」にて
掲載された『大百足(おおむかで)』について作画秘話をご紹介します。
まだ、「マンガ『京・妖怪絵巻』の舞台裏」の記事をご覧いただいていない方は、
そちらの記事から先にご覧いただくことをおススメします。
「大百足(おおむかで)」はどんな妖怪?
「大百足」は「俵藤太物語」にある百足退治伝説として有名な物語で、平安時代中期の近江国(現在の滋賀県)の瀬田唐橋や三上山が舞台です。
俵藤太物語の俵藤太とは、弓の名手・藤原秀郷のことで平将門を打ち取った武将としても知られています。
ある時、近江国の唐橋に大蛇が横たわり、人々が大蛇を恐れ、橋を渡れずにいたところ、横たわる大蛇を臆することなく踏みつけて渡ったのがこの物語の主人公、藤原秀郷。
それを見ていた竜宮の翁が「三上山に住む我々一族を苦しめる大百足を退治してほしい」と秀郷にたのみ、3本の弓を射て大百足の退治をしたというのがこの「大百足」の物語です。
(かなり省略していますので詳しくは新聞紙面のマンガをご覧ください。)
そしてこの時にもらった褒美の中に「米の尽きることのない俵」があり、それが由来で藤原秀郷は俵藤太と呼ばれるようになったという説があるそうです。
「大百足(おおむかで)」の制作秘話

実は私は虫一匹家の中に入ってきただけでも大騒ぎするくらい虫が大の苦手なので、この作品を描くときは本当にいろんな意味で苦戦しました。
…そう、虫を見るのも嫌いなので「百足」の細かい造形を知らなかったのです。
足がたくさん生えているということ以外何も「百足」に関する知識がない状態。
クリエイターとして無知識のままムカデを想像で描くわけにはいかないという思いと虫嫌いという本能の間で何度も葛藤をした結果、さすがに実物を見るわけにはいかないのでネットでムカデの画像を検索することにしました。

…検索一発目から、ムカデのアップでもう本当に背中がぞわぞわーってなりました。
明らかにヤバいとわかる造形と配色のムカデの画像が画面中にこれでもかと表示され、今回の作品はなによりも気持ち悪さとの戦いでした(泣)
しかも普段見慣れない「虫」ということもあって変に脳内にインプットされてしまって作品を仕上げる頃には参考画像とか見なくてもムカデを描けるくらい鮮明な記憶になりました(笑)
これだけ虫の画像をまじまじと観ることは人生最後と思いたいです。


ただ、個人で絵を描いていたら虫を描くのは絶対にありえないので今回は貴重な経験ができました。
ちなみに「大百足」は、第24話「神泉苑の龍」と第25話「矢取地蔵」のように2話連続の物語の前半でした。
この百足退治のお礼として俵藤太がもらった褒美のひとつに赤銅の釣鐘があり、これが三井寺に奉納されたのですが、その「三井寺の鐘」を巡った三井寺と武蔵坊弁慶の争いをこの物語の次の話で描いています。

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