京都府向日市発行の『HELLO むこうの私-手で心をつないで-』を制作の舞台裏なども交えながらご紹介したいと思います。
向日市が発行した手話マンガ冊子
『HELLO むこうの私-手で心をつないで-』は、手話や聴覚障がいについて知ってもらうとともにその暮らしや課題について理解を広げるために、平成31年度に向日市が発行した手話マンガ冊子です。
『HELLO むこうの私-手で心をつないで-』
発 行:京都府向日市
編 集:京都精華大学(京都国際マンガミュージアム)事業推進室
販 売:一般社団法人全国手話通訳問題研究会
作 画:濱田咲乃・彩乃/野路文紗子/青柳恵太
装 丁:A5 判 97 頁
本書は主人公を「ろう者」、「難聴者」、そして、聞こえない方を支援している「手話通訳者」の若者に設定して全3章の構成でマンガを収録しています。
マンガ本の後半には、向日市内の観光スポット等も掲載しています!
■第1章 夢に”手”をのばして―ろう者編―
作画:濱田咲乃氏・彩乃氏
生まれつき重度の聴覚障害で耳が聞こえない稲葉美咲。
ろう学校卒業を控え、聞こえる人の社会に入ることに不安を感じ、無意識に壁を作っていた彼女だったが、ある日出会った千尋の存在が彼女の心を大きく動かしていく――……
■第2章 セカンドステップ―難聴者編―
作画:野路文紗子氏
生まれつき両耳がほとんど聞こえない難聴者である笹屋拓海。耳が聞こえにくいことや自分の発音にコンプレックスを持ち、自分の殻に閉じこもりがちだった彼が、大学で出会った登山サークルの仲間や、同じ難聴の美月先輩によって次第に自信を取り戻していく――……
■第3章 声をかたちに —手話通訳者編—
作画:青柳恵太
ある日、テレビで目にした手話通訳者の姿に心を動かされた渋川 誠。本を読んで勉強したという彼の教科書的な手話を見て、先輩手話通訳者は、「手話を学ぶこととろう者の生活を知ることは同じ」だと彼に助言する。はじめはその真意を理解できず教科書的な手話を続ける彼だったが――…
私は「ろうあ者編」「難聴者編」「手話通訳者編」という3部構成のうち「手話通訳編」をご縁があって描かせていただきました。
周りに聞こえない人がいないという方こそこの漫画を読んで少しでも聞こえない方のことや手話通訳のことを理解してもらえたらと思います。
そして友人などにもどんどん広めてください‼️
もし、地域でこんな本作りたいという方は絵のご依頼もお待ちしています笑
「Helloむこうの私」 制作秘話
「Helloむこうの私」は、初めて依頼を受けて描いたマンガでした。
それまでは職場で本の挿絵やパンフレットなど描いていたくらいだったのですが、たまたま、向日市の担当の方がこの挿絵やパンフレットを描いていることをご覧になっていて、今回のような大きな企画に携わることができたのです。
このマンガを描くにあたっては、3名の手話通訳の方に取材を行い
約1年近くかけて大体28ページ前後のマンガ原稿を完成させていきました。
この向日市の 「Helloむこうの私」の依頼を きっかけに他にもプロフィールで描かせていただいている企業さんや行政などからもマンガやイラストの原稿依頼を頂くようになり、漫画家・イラストレーターを名乗るようになりました。
私は初めてのマンガ執筆依頼だったので、気合い入れて頑張ろうとその当時のメイン環境だったSurface Pro3でCLIP STUDIOを立ち上げて意気揚々とマンガ原稿の作画を始めたのですが、当時のSurfaceって絵を描く用のパソコンとしてはできていないので、細かい絵を描こうとするとたまにポインタがずれるんですね。
このままでは依頼いただいたのに失礼だと思って、iプロの作家さんがPad Proで作画してるというネットの記事を見て三日くらいスペックとか調べて、ほぼほぼ勢いで作画環境を新調しました。
当時、全然お金に余裕がなかったのに、マンガの仕事をどんどんもらえたら大丈夫だって完全に見切り発車でiPadを購入したんですが、仕事もらえなかったらどうするつもりだったんでしょうね…(笑)
ちなみにiPad Proでの作画環境については以下の記事でも紹介しています。
ただ、念入りにスペックを調べて買った割にはソフト面のことを何も調べておらず、すでにPC版のCLIP STUDIO EXを持っていたのでiPadでもMac版を使えると思っていたのですが、iPadはiOS版の購入が必要とのことをiPadを買ってから知りました。
そのため、この向日市のマンガについては、はじめのうちはアイビスペイントをつかっての執筆でした。
アイビスペイントは自動的に作画を録画する機能があるようで気がつけば試行錯誤してる様子が録画されていましたので公開します。
(結構長いですのでご注意ください。)
タイムラプス的になっていますが実際の制作時間は約8時間。
他のページと比べても倍以上に長い制作時間でした。
途中からiOS版のCLIP STUDIOに変えたので動画自体は9割完成で終わってます。
この本はどこで読めるの?
現在、向日市のHPで全編公開しており、全国手話通訳問題研究会が委託を受け、冊子の販売も行っています。
■向日市のHP
https://www.city.muko.kyoto.jp/i/kurashi/kenko_hoken/fukushi/1558346469079.html
■全国手話通訳問題研究会 お買い物かご